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2つの臨床試験が示す高麗人参は緑内障に効く

高麗人参[緑内障の眼圧検査 でも日本人患者の眼圧は正常、改善すべきは血流]

以前勤めていた会社の先輩から、高麗人参は緑内障に効くのか?効くなら買うよと連絡をもらいました。

そう言えば最近、私の周りでも、緑内障の方が増えているように思います。調べてみました。

高麗人参

厚生労働省の平成26年患者調査(疾病分類編)資料に年度毎の疾病別に患者数が掲載されています。この数値を基に、最近の緑内障患者数の推移をグラフにしてみました。

1990年の緑内障患者数を1.0とすると、2002年には2.8に、2014年には5.4と5倍以上に増加しています。生活習慣病の糖尿病や高血圧性疾患に比べてもその急上昇ぶりは驚くばかりです。

そんなことを思っていた矢先、先週4月12日のNHKためしてガッテンで緑内障について放映され、この疾病に対する関心の高さを再認識しました。

日本緑内障学会多治見緑内障疫学調査(通称:多治見スタディ)」によると、緑内障患者は高齢になるほど多く、40歳以上では20人に1人が罹っていると報告しています。

自覚症状がないまま進行するため、治療が遅れると失明につながることもあります。2006年以降、緑内障はそれまで失明原因トップの糖尿病性網膜症を抜いて第1位になっています。緑内障は、高齢化に伴ってますます増加していくことが予測され社会問題化しつつあります。

不老長寿の霊薬と云われる高麗人参が、高齢に伴い増加する緑内障の予防や改善に効果があるのかどうか、あるいはそういった研究がなされているのか調べてみました。

緑内障ってどんな病気

初期段階では一部視野が欠け、徐々に視野が狭まり、最終的には失明に至る恐ろしい病気です。早期発見、早期治療が大切です。
高麗人参[緑内障による視野欠損]
いくらなんでも視野が欠けたら気付くでしょうと思われる方も多いでしょう。しかし、自覚症状が乏しいのがこの病気です。

なぜか?
理由は2つあります。

ひとつは、補完作用です。視野欠損が生じても反対の目が欠けた情報を補ってくれます。また、脳の視中枢が欠損部周囲の情報から欠損部を補完してくれるので、網膜上の結像を視神経が感知していなくても、脳には見えているのです。

もう一つの理由は、進行が非常に遅いことです。10~20年かけて徐々に進むため、その変化に気が付きません。人間は徐々に変化することに対して、かなり鈍感にできています。茹でガエルと同じです。自覚症状がでたら末期です。

だから40歳を過ぎたら定期的に検診を受けることが大切です。

緑内障の原因

高麗人参[緑内障の発症メカニズム]

緑内障は、眼球を満たしている房水の循環(排水)がうまくいかず、眼圧が高まることによって、物理的な圧力が視神経乳頭を圧迫し陥凹などの変形を起こすことが原因と考えられています。

視神経乳頭は網膜で受光した信号を集め眼球の外へ送り出すつなぎ目の部分です。

しかし、眼圧が正常範囲でも緑内障になる人が多いことから、眼圧以外の原因を究明する研究が行われています。


緑内障の種類

緑内障は、房水の流れが悪くなっている場所によって、原発開放隅角緑内障と原発閉塞隅角緑内障とに大きく分類されます。それぞれの比率は78%、12%となっています(多治見スタディ)。

残りの10%には、目の病気や薬害によって罹患する続発緑内障、生まれつきの発達緑内障などがあります。

もっとっも多い原発開放隅角緑内障の中には、眼圧が21mmHg以下で正常にも関わらず緑内障になる人がいます。これを正常眼圧緑内障と呼び、原発開放隅角緑内障の92%にのぼります(多治見スタディ)。

実に、全緑内障の72%が正常眼圧緑内障ということになります。眼圧が正常なのに緑内障、これは日本人(東洋人)に特有な現象のようです。

緑内障の治療方法と副作用

現在のところ緑内障治療においては、眼圧が正常範囲であっても、眼圧をより一層下げることによって緑内障の進行を抑える効果があることが確認されています。このため、眼圧を下げる治療が現在のグローバルスタンダードな治療方法となっています。

治療薬としては、房水の産生を抑えるタイプと房水の排出を促すタイプがあり、前者にはβ遮断薬(チモプトール®点眼、チモプトールXE®点眼)や炭酸脱水酵素阻害薬(トルソプト®点眼)といった薬が、後者には副交感神経興奮薬(サンピロ®点眼)やプロスタグランジン製剤(キサラタン®点眼、レスキュラ®点眼)などがあります。

しかし、これらの点眼薬には、結膜充血、角膜炎、眼瞼炎、眼痛、異物感、ドライアイなどの副作用が心配されます。

日本人の緑内障の原因は網膜の血流不足

正常眼圧緑内障患者が72%も占める日本人とって、眼圧を下げる治療方法には納得がいかない方も多いことでしょう。正常な眼圧であってもなぜ緑内障に?

それは、正常な眼圧であっても、視神経乳頭そのものが脆弱であるために少しの圧力でも陥凹変形を起こすからだとする説が注目されています。そして視神経が脆弱になるのは、血流異常が関与していると考えられています。

NHKためしてガッテンでは、緑内障になりやすいタイプとして、無呼吸症候群、低血圧・高血圧、糖尿病、偏頭痛、極度の近視の人をあげていました。このような人はいずれも、動脈硬化や毛細血管の血流低下を起こしていて、網膜に十分な栄養と酸素が送らていないと推測されます。

その結果、網膜の視神経が脆弱になっていて、正常な眼圧でも視神経乳頭部が変形してしまう。これが日本人特有の緑内障の原因ではないかと考えられています。そしてその対策としては有酸素運動による血流アップが効果的だとしています。

血流アップと言えば、思い出すのが高麗人参です。
万病に効く霊薬’高麗人参’による緑内障治療の臨床試験論文を2件紹介します。

高麗人参は網膜乳頭周囲の血流を改善する

高麗人参が血流をアップさせる作用があることは良く知られています。では、緑内障患者の網膜の血流アップに効果があるのかどうか知りたいところです。

さすが高麗人参の本場韓国です。日本同様に東洋人特有の正常眼圧緑内障の原因に着目して、韓国延世大学のキム先生らが、「緑内障患者における高麗人参の摂取が眼の血流に及ぼす効果」について臨床試験をしています。

臨床試験は、無作為化プラセボ対照二重盲検法で行われました。開放隅角緑内障患者36人を無作為に2つのグループに分け、Aグループには高麗人参紅参1.5gを1日3回12週間投与し、続いて8週間のウォッシュアウト期間を設けた後、プラセボ治療薬を12週間投与します。

ウォッシュアウトとはそれまで投与していた薬の影響を除くための休薬期間のことです。プラセボとは偽薬のことで、高麗人参紅参に似せて、1.5gのコーンスターチを充填した同一色で同一形状のカプセルが用いられました。

Bグループには同じ処方で順番を変え、まずプラセボを投与した後、高麗人参紅参が投与されました。

高麗人参[視神経に酸素と栄養を届ける毛細血管網]

効果の評価は、血圧、心拍数、眼内圧、 さらにHeidelberg Retina Flowmeterによる視野検査および眼球血流量を、試験の各段階および終了時の測定によって行われました。

プラセボまたは高麗人参紅参投与後には、血圧、心拍数、眼内圧および視野指数の変化は認められなかったが、高麗人参紅参投与後に、網膜乳頭周囲の血流が有意に改善したことが確認されました。

これらの結果よりキム先生らは、高麗人参紅参の摂取が緑内障の治療に役立つ可能性があると結論付けています。


高麗人参は緑内障点眼薬によるドライアイを改善する

緑内障点眼薬によってドライアイ症候群に罹り、点眼薬治療の継続が困難になっている緑内障患者が少なからずいます。

高麗人参[高麗人参は緑内障ドライアイに効く]

韓国延世大学Hyoung Won Ba博士は、緑内障患者のドライアイに、高麗人参紅参が効果があるか臨床試験をしています。

試験は、無作為化プラセボ対照二重盲検法で行われました。緑内障患者49名の内、Aグループ24名には高麗人参紅参を毎日3gを、Bグループにはプラセボ(偽薬)を、それぞれ8週間投与。

評価は、結膜充血、涙液産生、マイボーム腺機能不全およびドライアイ質問票(眼球表面疾患指数)を、試験前後で行われました。

結果は、ほとんどすべての患者が試験開始時にドライアイ症状および徴候を示していましたが、高麗人参紅参を投与されたAグループは、プラセボのBグループと比較して、涙液膜安定性および全眼表面疾患指数スコアを有意に改善。

結論として、高麗人参紅参の摂取は、緑内障治療薬によるドライアイを改善し、緑内障点眼薬による治療の継続を可能にするとしています。

緑内障点眼薬によるドライアイでお悩みの方、高麗人参を試してみてはいかがでしょうか?眼科医に相談してみてください。

緑内障の原因はいまだ明らかになっていない状況ですが、最近、急激に増加しており他人事ではありません。加齢による動脈硬化や毛細血管の血行不良が原因であることを考えると、アンチエイジング対策に心掛けることが緑内障の予防・治療となるようです。

運動、食事、休息に加え、不老長寿の霊薬と云われる高麗人参を試してみる価値は、かなりあります。

先輩、いかがですか? 高麗人参効きますよ!

    <参考文献>
    1) Na Rae Kim etal, “Effect of korean Red Ginseng Supplementation on Ocular Blood Flow in Patients with Glaucoma”, J. Ginseng Res.Vol.34,No.3,237-245(2010)

    2) Hyoung Won Bae et al, “Effect of Korean Red Ginseng supplemantation on dry eye syndrome in glaucoma patients – A randomized, double-blind, placebo-controlled study”, J. Ginseng Res.39 (2015) 7-13