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高麗人参のサポニンは別格でジンセノサイドと呼ばれています

高麗人参
サポニンは、もともと植物成分のひとつで、水に溶けると泡立つ性質がありますが、生薬の有効成分としても知られています。東洋では、麦門冬(ユリ科ジャンヒゲの根)、甘草(マメ科カンゾウ類の根)、桔梗(キキョウ科キキョウの根)、柴胡(セリ科ミシマサイコの根)、西洋では、マロニエの樹皮、サクラソウなどがサポニンを含む薬草として古くから利用されています。

これらの薬草には、サポニンと関連性を持つ塩基性化合物であるアルカロイドも含まれ、多量に摂取すると毒性を示します。とくに神経系統には激しく作用することがあります。しかし、高麗人参にはアルカロイドが非常に少なく、毒性をもたないため、多量・長期に服用しても副作用はありません。

しかも、人参サポニンは他の薬草のサポニンとはかなり異なる化学構造をもっています。よく知られるものとして、合成ホルモン剤の原料となるステロイドサポニン、生薬成分に多いオレアナン系サポニンがありますが、人参サポニンは、自然界ではじめて発見されたダマラン系サポニンを含みます。

高麗人参に含まれるサポニンは優れた効能を持つため、ほかのサポニンと区別して、ジンセノサイドと呼ばれています。

高麗人参のサポニンは、ブレーキとアクセルの働きをする!(=恒常性)

高麗人参のサポニン(ジンセノサイド)は、ジオール系、トリキオール系、オレアノール系の3つに分類され、それぞれの効果・作用をもっています。

興味深いのは、正反対の作用を持つサポニンが共存していることです。たとえば、ジオール系は中枢神経に抑制的に働き、末梢神経を拡張する作用がありますが、トリオール系は中枢神経に興奮的に作用し、血管を収縮する作用があります。

つまり、抑制と興奮、ブレーキとアクセルの相反する作用があり、薬効の二面性をもっているのです。しかも、これらは相殺することなく作用し、体内のバランスを整えてくれています。低血圧にも高血圧にも効くのです。

このジンセノサイドの体内の状態を正常に保つよう調整する「恒常性」という働きは、高齢化社会やストレス社会に必要とされる効能です。

ちなみに、恒常性とは、ホメオスタシス(Homeostasis)ともいい、生物が血圧、体温などの内部環境を一定の状態(=健康体)に保ちつづけようとすることです。