漢方薬は効きが穏やか、西洋薬は効きが早い、というのが皆さんがまず思う印象でしょう。あるいは、西洋薬はよく効くが副作用が心配と思われる方もいるでしょう。
西洋薬は化学合成で、漢方薬は自然の薬草から創られる
西洋薬には化学合成されたものが多く、有効成分が単一で、解熱、鎮痛、鎮咳、ウイルス菌を殺したり、血圧を下げるなど一つの症状や病気に対して強い作用があり、短時間でその効果を実感することができます。しかし作用が強い分、副作用も心配されます。
一方、漢方薬の中にも中品薬や下品薬のように効果が早いものもありますが、通常複数の生薬を組み合わせ処方されます。それぞれの生薬が、多くの有効成分を含んでいるので、1処方でもさまざまな作用を持って穏やかに効いてきます。
西洋医学は対処療法に、東洋医学は根源的治療に重きを置いている
東洋医学と西洋医学には、治療に対する考え方に大きな違いがあります。西洋医学では熱が出たから熱を下げる薬を処方するという対処療法であるのに対し、東洋医学ではなぜその熱が出ているのかを診て、状況によってはさらに熱を出させる生薬を処方するなどし、自然治癒力を補うことによって治療する方法をとります。
よって熱を下げるという作用に対する効き方の早さは、西洋薬に軍配が上がりますが、身体全体の調子を元に戻すことまでを考えた場合は漢方薬の方が優れているといえます。
ですから、漢方薬は複数の病気や症状に対する治療に有効で、慢性的な病気や全身的な病気の治療など複雑多彩な症状に対し、効果を発揮します。