紀元前三世紀頃、秦の始皇帝の命を受け、方士徐福が不老長寿の神薬として持ち帰ったのが、朝鮮半島北部に自生していた野生の高麗人参でした。始皇帝はその薬効に大変満足しました。これを機に人参の人気が高まり、人参の需要も増大しました。
高麗人参のふるさとは、北朝鮮白頭山
自生の高麗人参は、北朝鮮の白頭山を中心に半島を縦貫する山脈の密林の奥深いところなどに自生し、その採取は命の危険を伴う大変苦難なものでした。人参堀りを職業とする人はシンマニと呼ばれ尊敬されていました。
自生の人参は非常に成長が遅く、成育環境によって根の形状が多様に異なります。形状を見れば産地を言い当てる仲介業者もいるそうです。とくに根全体の形状が人形をしているものが珍重されます。
自生の人参は、数十年から100年以上のものもあり、産地、年数、形状などによって価値に差があります。
日本の高麗人参栽培技術は韓国より進んでいる
長年にわたって野生の高麗人参は、乱獲され続けられたため数が激減しました。韓国では、種を採取し山に播いたりする栽培法が試されてきました。しかし、なかなかうまくいきませんでした。一方、日本には自生のものがなかったため、江戸時代から栽培の研究がなされ、本家韓国より栽培技術が進んでいます。
自然に自生している天然ものの人参を山参(サンサム)といい、栽培されたものを家参または人参といいます。現在流通しているものはほとんどが栽培された人参です。
山参には神秘的な薬効があるといわれている
山参と人参で薬効に差があるのでしょうか。成分分析の結果、含まれるサポニンの種類が人参19種類に対し山参は30種類であったといわれていますが、解明はまだ不十分なようです。
しかし、実際に山参の優れた薬効を体験している人が多いことも確かです。人里離れた山奥の神秘的な環境で育ち非常に希少なものです。死の淵からも生還させるほどの薬効があるとも言われています。このため、山参は人参に対し100倍以上の値段が付きます。一本数百万円の値をつけるものもあります。
いくら効果があっても、高ければ所詮高嶺の花です。江戸時代には、病治って首くくるとも言われました。近年、栽培法も改善が進み品質ばらつきの少ないものが生産されています。
今後さらに栽培技術の研究が進み、人参でも山参に負けないほど多くのサポニンを含むものが開発されることが期待されます。