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野生の高麗人参・山参の栽培1年目の記録(4)

高麗人参[吾妻五葉松林で育った高麗人参1年根の外生菌根菌との共生]

前回のブログ(20170308)のつづき第4報です。

不老長寿の霊薬を目指して、吾妻五葉松林、アカマツ林、コナラの林、スギ林で高麗人参の自然栽培をしています。

2015年12月1日に種を播き、2016年4月中旬に芽を出した高麗人参の1年生は、3枚の葉を広げ、それぞれの森に守られて病害虫に侵されることなくすくすくと成長し、2016年10月末に落葉しました。

掘りあげた高麗人参1年根は、畑栽培と異なり非常に華奢です。

その1年根を洗浄し、根細胞に外生菌根菌が感染(共生)しているか観察した記録です。 

森林栽培の高麗人参1年根の形状

 まだまだ緑の葉っぱを付けていた10月17日、高麗人参の1年根を掘り起し、水道水で丁寧に洗いました。

いずれの森の土もふかふかですので、手でたやすく掘ることができます。非常に小さく弱い根毛を傷つけないように、大きなごみは手で取り除いて、流水にさらすように洗浄しました。

吾妻五葉松林の1年根は小さいが人の形に

高麗人参[高麗人参一年根:左から吾妻五葉松林、アカマツ林、コナラの林、スギ林]

いずれの森林で育ったものも畑栽培に比べれば非常に長さ太さ共に小さく華奢です。最も大きかったのがコナラの林で育ったもので、長さ約11cmと太さ約3mm程です。他の森林に比べ、ひげ根が多いのも特徴。

スギ林で育ったものは太く、翌年の新芽が大きくしっかりしているのが特長的です。唯一のアーバスキュラー菌根菌グロムス属に感染しているはずですが、どことなく形状からもそんな気がします。

吾妻五葉松林とアカマツ林の1年根は、共に非常に細く、長さのばらつきも大きく、来年の新芽も小さく貧相な根です。形状のバラツキも大きいですが、前向きに捉えれば、人の形をしたものができる可能性が高いと言えます。プラシーボ効果を考えると人の形をしていることは大切かもしれません。

山参1年根は外生菌根菌との共生に成功したか?

 野生の高麗人参・山参を栽培するに当たり最も大事なのは、大きさでも形状でもありません。どんな菌根菌が共生しているかがポイントです。

高麗人参[唯一の評価手段、頼みの綱の顕微鏡]

まだ共生菌根菌の観察技術やノウハウが不足していますが、まずは観察です。ひげ根を顕微鏡で観察しました。対物レンズの倍率はアカマツが20倍、それ以外は10倍です。


吾妻五葉松林で育った高麗人参1年根

高麗人参[吾妻五葉松の林で育った高麗人参1年根に絡む菌糸]

赤い矢印は根毛を示しています。透明で長いものも見られます。根の表面にかなり多くの数が見られます。

黄色矢印は、外生菌根菌の菌糸と思われます。根細胞へ入り込むところも見られます。菌糸が、根の中を血管のように張り巡っているのが分かります。

恐らく外生菌根菌と共生関係を築いたのではないかと思います。

青矢印は、シミのような黄色いものが見られます。表題の写真の方がはっきり見えます。何かは分かりませんが、なんらかの菌類ではないかと思います。


アカマツ林で育った高麗人参1年根

高麗人参[アカマツ林で育った高麗人参1年根に侵入した菌糸]

吾妻五葉松の場合と同様に、赤い矢印は根毛で、黄色矢印は菌糸です。これも進入から根内に入り込んでいることが分かります。

青い矢印は小さな虫?のようで、細胞内をミドリムシのように動き回っています。森の中でいろんな生き物が共生関係を築こうとしているのでしょうね。これら未知の生き物の総合的な力で、不老長寿の霊薬が産まれるのかもしれません。


コナラ林で育った高麗人参1年根

高麗人参[コナラの林で育った高麗人参1年根に見られる菌嚢状体?]

観察した範囲では、根毛が見当たりませんでした。

黄色矢印の外生菌根菌の菌糸のように見えますが、マツのようにはっきりしていないため、何とも言えません。

細胞内に小さな粒の集合体が多く見られます。これは表面より根の深部に行くほど多く見られます。嚢状体のように見えますが、外生菌根菌にも嚢状体があるのかどうか不明です。


スギ林で育った高麗人参1年根

高麗人参[スギ林で育った高麗人参1年根に見られる嚢状体]

コナラの林で栽培した高麗人参1年根と同様に、根毛が見当たりませんでした。

菌糸が、表皮近くの細胞間に入り込んでいるように見えます。表皮から奥の細胞内には多くの嚢状体と見られる小さな粒が見られます。

スギは外生菌根性樹木ではなく、アーバスキュラー菌根菌グロマス属と共生をしていますので、Drキンコンで栽培したものとよく似ています。
☞参照「VA菌根菌グロマス属で育てた高麗人参...」

吾妻五葉松、アカマツ、コナラ、スギのそれぞれの森林で栽培した高麗人参1年根は、それぞれ異なった根細胞の様相を観察することができました。

菌根菌の種類を同定する技量がないため断定はできませんが、菌根菌以外にも様々な菌との共生があるように思いました。

免疫力を活性化するLPS(リポポリサッカライド)を産生するパントエア菌も共生しているかもしれません。共生菌と共生樹木から与えられた養分や栄養が高麗人参の中で、不老長寿の霊薬となって蓄積されるメカニズムを知りたいものです。

高麗人参[贅沢な山参1年根のてんぷら]

観察のために掘り起こした山参1年根は、てんぷらにして美味しくいただきました。1年根でも高麗人参の苦味と甘みがあり、畑栽培の1年根よりも濃いように感じました。

味は成分そのものですので、味覚や風味で高麗人参の成分を言い当てることができるようになれば、高価な分析機器に頼らずとも、迅速かつ安価な評価が可能ではなかろうかと、てんぷらを食べながら思案。

そう思っていたら、なんと昔から高麗人参の良否鑑別方法があるようです。高麗人参は、古来より霊薬として服され、高価ゆえに偽物も多かったことを考えると、その時代々々によって良否鑑別方法が確立されていたのは当然のことです。今更ですがこの植物は奥が深いですね。

さらに最近2013年には、生薬ソムリエという資格が制定されました。金沢大学医薬保健研究域薬学系・分子生薬学研究室内に本部をおいた日本漢方生薬ソムリエ協会という格式高い機関の資格です。今のところ民間資格のようですが、かなりハードルの高い資格です。

昔の鑑別方法や生薬ソムリエ試験資料を参考にしながら、生薬ソムリエならぬ、高麗人参ソムリエを目指します。

ひとくち口に含めば、どんな樹木の森林で育ったものか、外生菌根菌は何か、土壌菌は、標高は、どんな環境で育ったものか、何年根か、中国産なのか日本産なのか、福島産か長野産か島根産か等々、ぴたりと言い当てることができるよう味覚や臭覚など五感を鍛えていきたいと思います。

今回もブログを最後まで読んでいただきありがとうございました。